ベッドで寝ている女の子:「おばあちゃん。今日はどんなお話してくれるの?」

ユリ椅子で編み物をしているおばあちゃん:「そうだねぇ・・・じゃあ今日はテレビ史上最もぬるい番組ゲーム王国の話をしようかねぇ?」

ベッドで寝ている女の子:「わあ!!聞かせて聞かせて!!」





人は誰しも天職を探す旅人である。
「自分は一体何の仕事に向いているのか?」
高校や大学を卒業すると共に生まれる、人生を左右する疑問である。
早い人なら中学を卒業すると同時に、自分は何をしたいかを決める人もいるだろう。
そして人は遅かれ早かれ、その疑問にぶち当たったトキ、天職を探す旅人となるのだ。
だが、しかし、本当の天職を探し出すのは容易ではない。
恐らくそんなコトはその疑問にぶち当たった時点で、すでに誰もが気づくコトだ。
それはテレビで活躍する芸能人とて同じである
芸能人も私達と同じ人間であるコトには変わりない。
彼等もやはり天職を探し求める旅人なのだ。
みなさんは浜崎あゆみのアイドル時代を知っているだろうか?
知っている人は多いと思うが、現在アーティストとして活躍している彼女も、やはり初めは一介のサンピンアイドルだったのだ。
グラビア写真でニコニコ笑ってたり、街中にロケに行きレポーターとかもしていた。
しかしその後彼女は天職を見つけ、今現在に至っているのである。
しかし。
アイドルからアーティストになると言うのは、別段おかしな方向に向かった稀なケースではない。
チャンスと才能さえあればこの転職はなんとかなるものだ。
ハローワークに通ってアーティストになる方がかなり難しいだろう。
それは言ってみれば、レベル2のファイターが急にビショップに転職するくらいあり得ない転職だ。
実際RPGでもこんな転職はありえない。
その点アイドルからアーティストのなると言うのは、ナイトからパラディンになったぐらい、全然がんばればなれるクラスチェンジなのである。
そこで突然だがみなさんに想像していただきたいコトがある。
動物の声帯模写を生業とする人が、ゲームの情報番組の司会が務まると思うだろうか?
しかもその頭にまったくゲームなんぞに興味などないが付くのである。
ハッキリ言って無理だろう。
八百屋の主人にジェット機を操縦させるようなものである。
そのまったくゲームなんぞに興味などない、動物の声帯模写を生業とする人に司会者を任せたゲーム番組が、今回紹介するゲーム王国と言う番組なのです。
そしてその動物の声帯模写を生業としてる、まったくゲームなんぞに興味などない司会者と言うのが、あの、動物声帯模写の大御所故:江戸屋猫八さんの息子さんであった、江戸屋小猫なのです。(息子と言っても4〜50代のおっさん)
この番組はこの小猫さんを使って、人は天職を求め彷徨う旅人と言う裏テーマを私達に叩きつけてくれたのでした。
えー。
では、この番組がどう言う内容の番組かを軽く説明しますと、土曜の朝っぱらからゲームソフトの広報の人が各々の会社で作ったゲームソフトをこの番組で紹介すると言うモノでした。
客はもちろん全員餓鬼です。
そして司会者江戸屋小猫をサポートするアシスタントには、山口リエ林家いっ平がいました。
今考えても凄い出演者です。
ゲームに興味のない動物の声帯模写をする人と、まったく空気の読めない芸人と、テクニカル・ノックアウト寸前のアイドル
良くこれだけのメンバーを集めました。
もういろんなモノを通り越して天晴れです。
しかも紹介するゲームの方もほとんどクソゲーと言うありさま。
特にカルチャーブレーンの胡散臭い風貌の社員が紹介するゲームは見事なほどクソゲーでした。
それをこの3人が意味も解らず褒め称えるのです。
見てる視聴者はこの寒い空気に肌がピリピリしたはずです。
何よりも会場に来てる三度の飯よりゲームが好きであるはずの餓鬼ですら異常に低いテンションだったので、現場がどれだけの寒さだったかが、うかがい知れます。
そしてこの番組には、会場の餓鬼を2人センターに連れ出し、対戦ゲームをやらせる企画があったのですが、そこでも餓鬼は強制収容所に4年間入っていたような低いテンションでゲームをします。
その低いテンションをなんとかしようとするレポーターの林家いっ平の悪あがきが、より現場と視聴者を不安に陥れます
その上小猫も小猫で、子供の扱いが非常に下手と言うのもあって、現場は負のスパイラル
この番組を一言で形容するならば、やぶれかぶれと言ったトコでしょうか?
しかし、ここで事件が発生します。
それはある日のコト、小猫といっ平とリエの3人のするオープニングトークでの出来事でした。
このトキの放送は春を迎える直前だったので、3人は春について話し始めました。
それこそ子供相手なので、春休みなどのトークを展開させます。
そこで、小猫はこう言いました。
「いやー。春と言えばやっぱりウグイスでしょう。」
来ました!
やっと来ました!
今まで番組内で発表しそびれていた声帯模写をやっとここで発揮出来る瞬間です。
そして小猫は得意げに手を口に当て、
「ピーーーーーピヒョヒョッ!ヒョーーーーーホロホロホロホロ・・・・」
と、十八番のウグイスを餓鬼どもに披露しました。
すると、会場から
「ぉぉぉぉおお!」
と言う餓鬼の感嘆の声。
自分の天職である声帯模写を披露し、ご満悦の小猫。
しかしその会場の餓鬼の感嘆は明らかに
「何やってる人か知らないけど、おっさんやるなあ」
と言った感嘆でした。
それを見て私は
「それがこのおっさんの本職や」
と、テレビに向かって真顔で突っ込んでしまいました
このように動物の声帯模写を生業とする人は、ゲーム番組は天職ではないと言うコトが判明しました。
やはり餅は餅屋と言ったところでしょうか?
人間無理をするとロクなコトがありません。
しかしそんなゲーム王国ですが、小猫も司会者であると言う立場上、少しづつゲーム用語を覚えていくまでに成長を遂げます。
当時コンパイルだったぷよぷよの新作が出るたびに
「これは連鎖ですね?また連鎖した!」
とその手腕をアピールするほどになりました。
でもカードバトル系のゲームでは途端に無口でした。
そんなゲーム王国ですが、その後ゲームEXや、THEゲームパワーなどのテコ入れを何度もし、意外と長続きした番組になりました。
そしてこれ等の番組は、
江戸屋小猫の天下り先?
と思わせるくらい、また良く解らない番組だったのです。
私は毎週見ていたワケではないので、気が付けば終わっていましたが、私はこの番組が大好きでした。
あともう1つ渡辺徹加藤紀子司会のスーパーマリオクラブと言うのもあったのですが、それはまた別のお話。(おばあちゃんが本を閉じる)
ビバ!!
ゲーム王国!!!
ビバ!!!
江戸屋小猫!!!
以上。
追記:でも私がハマりにハマった逆転裁判はこの番組で知っておもろそうだったからソッコー買ったんだった。
やっぱゲーム王国サイコー!