fujigelge2004-10-14

アオォォォォン・・・ワンワン・・・

とある路地裏にある、いつも80〜90年代のアイドルの歌が流れる、負け犬のホーム・グラウンド<小料理屋:幻魔大戦>にて。


(BGM:恥ずかしい夢/中嶋美智代
オレ:「ういいぃぃ・・・・」
女将:「あらあら不治さん・・・・まあたそんなに呑んで・・・また終電に乗り遅れるわよ?って言うか、お店のカウンターで<自己流のタロット占い>やるのやめてくれる?他のお客さんの気が滅入るから・・・」
オレ:「うるせえ!!この教育テレビ<いないいないばぁ!>の<ワンワン>め!!!どうせオレは<アジアンカンフー・ジェネレーション>のヴォーカルと、<くるり>のヴォーカルの区別がつかねぇおっさんだよ!!!」
女将:「・・・・いや・・・・・そんな話してないし私も区別できないわよ・・・・それより今日はどうしたの?またなんかあったの?」
オレ:「女将よ。オレぁ最近まで何やってたか知ってるか?」
女将:「あら。唐突ねぇ。何やってたって毎日マリアさまぁぁ!!カエラちゃーん!!とか言いながらヨダレ垂らして人気の無い神社の絵馬に<アイドルと結婚出来ますように>ってお願い書いてたりしてたんじゃないの?」
オレ:「バカやロウ!!!半分当たってるが全然違うよバカ!!!」
女将:「・・・・・5割も当たってたの・・・?」
オレ:「オレはこの数ヶ月持ち込み用の原稿描いてたんだよ!!!その空いた時間を利用して絵馬に<アイドルと結婚できますように>ってお願い書いてたんだよバカ!!!」
女将:「へ・・・変態!!!(ストレートに)でも不治さんまだ漫画に未練あったの!?」
オレ:「・・・・み・・・未練とか言うなよ・・・・」(露骨にヘコむ)
女将:「あっ・・・・・買ったばっかりの電化製品が<すぐ壊れた>みたいな顔・・・・ホント他人には<ヘビーメタル>なのに自分には<セレナーデ>ねぇ・・・・」
オレ:「うるせえ!!!オレはおめぇみてぇに図太くねぇんだよ!!!」
女将:「はいはい。で、その原稿がどうしたの?」
オレ:「まあ要するについこの間それが完成して昨日東京行って持ち込みしてきたんだよ!」
女将:「ウソ!!?・・・・意外だったわ!!私てっきり不治さんって毎日お目当てのアイドルのCMをビデオで撮って<一時停止>したり<コマ送り>しながらやらしい目で見てるだけだと思ってたわ!!!」
オレ:「バカやロウ!!7割当たってるが全然違うよバカ!!!」
女将:「・・・・・・それほぼ図星じゃない・・・・で・・・でも見直したわ!!やるわね不治さん!!!」
オレ:「まあな。新陳代謝しなくなったタマゴは死んでるタマゴだ。」
女将:「それ漫画<吼えろペン>の受け売りじゃない・・・・・で、どこの出版社に行ったの!?」
オレ:「ふふふ・・・・(不敵な笑み)週間・・・・・・少年チャンピオンだああああああ!!!!!!!!」
女将:「し・・・・少年誌!!!!?って言うか何故チャンピオン!!!!?全然不治さんの作風と真逆の雑誌じゃない!!!?」
オレ:「ふっ・・・・雲ゆえの気まぐれよ・・・・」(あらぬ所を見つめながら)
女将:「き・・・・気まぐれすぎるんじゃない・・・・・?それ<K-1>のルールで闘う<プロレスラー>ぐらい不利じゃないの・・・?」
オレ:「いや!!これはオレなりに考えた奇襲作戦よ!!!これぐらいルールの違う<リング(雑誌)>でやっていけなきゃこの先やっていけるワケねぇだろ!!!いいか女将!!!この闘いはオレにとっちゃ<ウルフ金串戦>なんだよ!!!」
女将:「ウルフ金串戦!!?あ・・・・<あしたのジョー>でまだチンピラの矢吹丈ウルフ金串の試合後、記者が集まった中ウルフに喧嘩を売って、記者達の前で<クロスカウンター>を打ったあの・・・・・?」
オレ:「そうだ・・・・気持ち的にゃあオレにとっちゃコレが<ウルフ金串戦>なのさ・・・・出会い頭を狙ってるのよ・・・・虎視眈々となあ」
女将:「・・で・・・でも・・・・パンチが当たらないと意味ないわよ?どうだったの?その出会い頭の感触は・・・?」
オレ:「今は何とも言えんが、前に行った持ち込みに比べたら割と好印象を持たせたようにも思う。編集の名刺を貰って原稿をドンドン送ってきて欲しいと言われた。とりあえずは第一関門をクリアしたようにも思う。」
女将:「イマイチ歯切れの悪い言い方だけど、まずまずと言ったトコなのね?」
オレ:「ああ・・・だが本当の闘いはこれからだぜ!!これからがオレの真価を問われるんだ!!おもしれぇ漫画をバシバシ送ってやらあな!!!まだ死なねぇぜ!!!オレの目はまだ死んじゃいねぇぜぇ!!!!」
女将:「ああ!!?心なしか不治さんのセリフが<少年漫画>してるわ!!!?でもなんでウチでグダグダ呑んでんのよ?なんか機嫌悪くて呑んでたんじゃないの?」
オレ:「ふふ・・・このアルコールはオレの魂をより燃え上がらせるタメのアルコールよ!!!ブスブスとくすぶってた炎を燃え上がらせるタメのなあああ!!!!!」
女将:「熱い!!!熱いわ!!!<努力>と<頑張る>が大嫌いな不治さんが珍しく燃え上がっているいるわ!!!」
オレ:「女将見てろ!!!今度こそオレは<泪橋(なみだばし)>を逆から渡ってみせるぜ!!!!」
                ゴッ!バサッ!(肘がタロットカードに当たりばらまく)
女将:「うふふ。あらあら不治さん、意気込むのはいいけどちょっと酔っ払ってるんじゃないの?もうっ!しょうがないわねぇ!」(カウンターを出てタロットカードを拾いに行く)
オレ:「えへっ!女将メンゴメンゴ!」(頭をコツンとやり舌を出す)
女将:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(散らばったタロットカードを呆然と見ている)
オレ:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(同じく見ている)
女将:「・・・・・ふ・・・・不治さん・・・・・表になってるカードが<デビル>と<タワー>と<ハングドマン><だけ>なんだけど・・・・不治さんの自己流占いじゃ・・・・い・・・・良いカードなんでしょ・・・・・?」
オレ:「・・・そ・・・・そうそう!オレ流の占いじゃコレは良いカードなんだよ・・・・!!!」
女将:「・・・ふ・・・・不治さん・・・・・買ったばっかりの電化製品が<すぐ壊れた>みたいな顔なんだけど・・・・・」
オレ:「・・・・・・・・気のせいだろ・・・・・・・」
♪いっつー逢えるのーいっつー行けるのー♪悲しみーのーシャングーリラーー♪
(BGM:大西結花/悲しみのシャングリラ)