私引越しして若干普通の生活を送れるようになったワケなんだが、その引越し初日に前もってその新しい町を散策していたのだ。
新しい町って言っても子供の頃に結構遊んでいたところなんで、あんまり新鮮さとかはないんだが、
「この辺もずいぶん変わってしまったなあ」
なんて思いながら散策していた。
で、食い物やらなんやらこの辺で調達しないといけないんで、すぐ近くにある商店街に行っていろいろ見ていたら、何やら<小さなおもちゃ屋>らしきところを発見。
「そうだ。おもちゃ屋も結構行くと思うからここもチェックしといた方がいいかもな」
なんて思いながら店先のディスプレイ見てたら、そこに飾られてる代物がなにやらおかしい。
何がおかしいかってそこに飾られてる<フィギュア類>がかなりパンチが効いてたからだ。
では、そのパンチの効いた代物を少し紹介してみよう。

  • ゴジラが海から現れるところを再現したフィギュア
  • 町並みからヌっと顔を出したガラモンのジオラマ
  • 諸星ダンとアンヌ隊員のフィギュア


などなど。
どっからどう見ても<子供なんか一切無視>した<大人のおもちゃ>の数々。
あまりの衝撃に<勃起>しそうになる私。
そんで私その良くできたフィギュアのディスプレイにかなり興奮したんだが、あんまりブラブラしてる時間もその時なかったので、その場所を覚えて一旦家に帰った。
もうちょっと落ち着いてからこの店にもう1回来ようと思ったのだ。
で、昨日落ち着いたのでその店に再び行ってみたワケだ。
もう失禁しそうになったな。
あんまり興奮して。
だってレトロヒーローとか怪獣とかほとんど<アニメ&特撮モノ>しか置いてないのよ。
バイクとか車とかミリタリーの模型なんてほとんどナシ!
この店主の趣味が良く解る品揃え。
店に入った瞬間この店主が<どう言う人間>なのかが良く解った。
良く初めて行った人の家の本棚を見たらその人がどう言う人間か良く解るとか言うじゃない?
<他人に対して商売してるお店>なのに<そのレベル>の解り易さなのだ。
「あ!この店主<ゴジラを主軸にした怪獣好き>だ!!」
みたいな。
店の中は結構そう言う<怪獣>がメインになっている。
でも私的にはあんまり怪獣にときめかないタイプの人間なんだが、レトロヒーローなどの商品に釘付けになる。
しかもよく見ると<ガレージキット>の多いこと!!
こんな近場の普通の商店街にこんな店があるとは驚きだ。
「うわー!!この<メーテル>と<エメラルダス>と<ハーロック>全部ガレキじゃ〜ん!!!」
て具合にテンションが上がり震える。
あんまりって言うか、ほとんどそう言うガレージキットって見たコトなかったんで、ついつい店主にこう聞いてみた。
「開けていいですか・・・?」
「ええ。いいですよ。」
その返事を聴くやいなや、いろんな商品の箱を開けて見まくる。
しかし、そんなクセのある店内なんだが、ふと見ると、1つしっくりこない商品が置いてあった。
それは、そんな渋い商品にひっそりと置かれてある<ガンダムSEEDのプラモ>だ。
何故かその一帯だけ明らかに<浮いている>。
「な・・・・何故ガンダムじゃなくガンダムSEED・・・?」
そう、この店には<ガンプラ>は一切置いていないのに何故か<ガンダムSEED>のプラモが置いてあるのだ。
「まあ、コレも店主の趣味なのかもしれんな」
なんて思いながらその辺一帯は無視する。
で、店の中に<ドン>と置いてあるディスプレイを見て更にテンションが上がる。
そのショーケースに飾られていたのが私の大好きな<ハカイダー>だったのだ!!!
「うおおお!!!・・・・ハカイダー!!!しかもかなりデカくて出来がいい!!!」
しばしそのハカイダーを食い入るように見つめる私。
まるで<ショーウィンドウに飾られたトランペットを羨望の眼差しで見つめる黒人の少年>のような私。
たぶんかなり<ヤバイ顔>で眺めていたに違いない私にカウンターから40代前半ぐらいの店主が声をかけてきた。
「それいいでしょ?結構昔に<海洋堂>が作ったガレージキットですよ。キャスト*1だから持ったら結構重いですよ」
「ま・・・・マジっすか・・・・・!?」
また震える私。
そもそも私は<フィギュアコレクター>ではないんだが、その惚れ惚れするフォルムにエレクトしてしまう。
私もハカイダーのフィギュアは1体だけ持っているんだが、段違いの出来の良さ。
そんな自分の好きなキャラクターのフィギュアを1体しか持っていない<ぬるオタ>な私なんだが、ぬるオタの私でさえ<このフィギュアは高額>であるコトぐらいは解った。
もう欲しくて仕方がなくなる。
で、とうとう主人に聴いてしまった。
「あ・・・・あの・・・これいくらぐらいなんすか・・・・?」
「ああ。それはもうその1体しかないんで<4万円>ぐらいですねぇ。」
「よ・・・・よんまんえん!!!!」
すかさず<財布>を開ける。
スカスカの中身。
む・・・・無念!!!!
するとそんな敗色濃厚な顔をしている私に店主は言った。
「いやー。もうこの手のモノはほとんど手に入らないんで・・・・すみません・・・」
いや!!!店主よ!!!なにも謝るコトはない!!!コレはそれくらいの値段を取っていい商品だ!!!金を持っていなかったオレが悪いのだ!!!だが、後で必ずお前を迎えに来るからな!!!
そう思い自分を責める。
そしてそのハカイダーの横に置いてある、立派なゴジラのフィギュアが気になったのでその値段も聴いてみた。
「この横の置いてあるゴジラはいくらぐらいなんですか?」
「ああ。それも海洋堂のやつで<15万円>ですね。コレもキャストのガレージキットなんで相当重いですよ」
じ・・・・・じゅうごまんえん!!!?
確かに立派だが絶対買えねえよ。
しかし、こんなモンいっぱい見せ付けられたんじゃあ、いてもたってもいられない。
何か1つでも買って帰りたくなる。
で、見つけたのが<特捜戦隊デカレンジャー>の<デカピンク(ウメコ)>と<デカイエロー(ジャスミン)>の変身前のフィギュア。
コレは別に出来もまあまあだし、珍しいモノでもなんでもないんだが、予算的にはちょうどいいと思った。
でも良く見ると、ジャスミンウメコの2対で<1セット>で販売と言う紙が貼ってあった。
ちょっと気になったんで店主に聴いてみた。
「あのー・・・・コレって<ツインカムエンジェル*2>扱いなんですかね?」
「ああ。何か分からないんですけど、<ジャスミン>の方がすぐ<売り切れる>んですよ。どこのお店でもジャスミンはすぐ掃けて<ウメコ>は<売れ残る>んで、仕方ないんでツインカム・エンジェルで売ってるんですよ」
し・・・・知らなかった・・・・・。
私の大好きな<ウメコ>は<売れ残っている>のか・・・・・・。
「やっぱりエピソード7と8の話で人気出たんですかねぇ?」
「ああ。ちょっと<影のある娘>ですからねぇ」
なんか分からんが何だ!!!?この<ウメコがかわいそう>と言う気持ちは!!!?
どうりでディスプレイに<ウメコ>だけしか飾っていなかったワケだ・・・・。
そんなこんなでいろいろ話して店主と仲が良くなる私。
本来私はどんなお店でも<店主と仲が良くなる>と言うのが嫌なタイプなんだが、マニアの壁って薄いね。
すぐ仲良くなる。
そんでこの主人がどう言う経緯でこのお店を始めたのか?とかを聴いてみたら、このお店は6年前から始めたそうだ。
しかしこの店主の酔狂なトコは数年前まで<夜>しか店を開けなかったらしい。
当時昼はサラリーマンをしていて、夜にガレージキットなどの趣味で集めた品の数々を店に置き、商売をしていたのだ。
だから当時はもっとレア度の高い商品を売っていたそうな。
完全に<知る人ぞ知る>と言う店だったのだ。
しかし最近は脱サラして、この店1本の営業で昼から夕方まで店を開けているのでストックも掃けていき、新しい商品を補充しながらやっていってるそうだ。
ご自身もそうとうなガレキ好きと見た。
だってずっとカウンターで怪獣のガレキ作ってるんだからな。
ほんで私の気持ち的には<かわいそうなウメコ>を買う決意をするが、奥の方に何やら気になる影が。
それを引っ張り出すとそれは<ルパン三世カリオストロの城>で<崖から落ちたルパンがクラリスを抱きロープで枯れ木にぶら下がっているシーン>のキットが!!!?
「おおおお!!カリ城ですか!!?」
興奮する私。
「前はカリ城の商品がいくらかあったんですけど、今はそれ1個になりましたねぇ・・・ルパンもクラリスも小さくて、ほとんど崖で地味でしょ?」
「いや・・・・・でも<ルパンはともかく><クラリスが良く出来ている>んでいいですよ!!それにこの箱パッケージが良い!!」
相当欲しくなってずっと見ていたんだが、ルパンとクラリスの組み立てと塗装が相当難しそうだったんでかなり迷う。
ガレキなどの醍醐味は<そこ>なんだろうが、素人同然の私にはかなりハードルは高そうだ。
そんなコトを店主に話してみたところ、
「最初はみんなそう言いますよ。でも作ったり塗装するのは慣れですからすぐ出来ますよ。」
そう言うのだが、こんなモノ<片手間の趣味>で出来るようなもんじゃないと心で思う。
そんな迷っている私に店主は
「店の前のディスプレイに飾ってるやつの1部はお客さんが作ったんですよ。しかもやり始めて1年でこんな感じですからお客さんにも仕上げられますよ。」
と言って店のディスプレイに飾っている迫力のある<ゴジラ>のガレキを見せられる。
「い・・・・1年で<コレ>ですか・・・?でもエアブラシ使ってますね・・・。」
「エアブラシですね。いろいろ揃えると大変ですから最初はこのあたりから始めてみてはどうです?」
と言われ、薦められたのが、この店で1番浮いている<ガンダムSEED>のプラモ。
「これなら接着剤も使わないし初心者にはちょうどいいですよ。」
ここで私はこの<ガンダムSEED>の存在の<意味>に気付いた。
つまり店主は<ガレキ仲間を増やそう>としている!!
要はガレージキット制作を始めようとする人達用の<初歩段階>としてこの<ガンダムSEED>のプラモを置いていたのだ。(たぶん)
このプラモをこなしていき、自信が付いたところで<次の何らかのステップ>が用意されているのだろう。
謎はすべて解けた!!!
この店主、実に<抜かりない>。
そもそもこう言うマニアは私も含めさせてもらうが孤独なもんだ。中々話の合う人はいないと思う。
だからあらゆる手を使い<自分の世界に引き入れたく>なってしまうのはとても良く分かる。
この店は店主の<愛>そのものなのだ。
話を聴けば聴くほど愛しちゃってるのが分かる。
少し悩んだが、その<趣味>はもうちょっとしてからドップリと浸かった方がいいと思い、遠慮させてもらった。
結局組み立てるのは後の楽しみとして<カリ城>のキットを購入。
私があまりにも嬉しそうに見ていたからか知らんが、おまけで500円引いてくれた。
ウキウキしながら帰って袋を開けてみると、ルパンの箱の横に小さい茶色の紙袋が入っていた。
「何やコレ?」
と思い袋を開けてみると、その中には<ガメラ3のミニフィギュア>が!!!?
なんと店主黙っておまけを入れてくれたようだ!!
しかも私ガメラ大好きだよ!!!
イカスぜ!!!
あんたのコトこれから心の中で<おやっさん>って呼ぶことにするよ!!!(中年の特オタにとっては名誉のある称号)
早速トイレに飾らせてもらいましたよ。
この町大好き!!!
以上。

*1:簡単に言うと中身が詰まってて空洞じゃない作り。

*2:因みに<ツインカム・エンジェル>とは<デカピンク・デカイエロー>のユニット名みたいなもんです。