あたたかい星

この前借りた本を返しに図書館にまた行った。
で、また本を借りた。
今回借りた本は、藤子・F・不二雄の征地球論と言うSF短編漫画集。
１０８４ページ程あると言う中々のボリューム。
いやーおもろい。
短編集は作者の人柄がおもいっきり出るんで、短編集好きな私は大満足。
で、この短編集を読んで、この藤子・F・不二雄氏の人柄を一言で言うならばあたたかい。
この短編集のタイトル通り、ターゲットは大人向きに作られているのだが、そこかしこにあたたかさを感じる。
それもそのはず、藤子不二雄Aと違って、Fの方は、漫画に大人も子供も無いと言ったぐらいの人だからなあ。
主人公は大人の人が多いんだが、全員大人っぽくない。
例えば有名人販売株式会社と言う作品があるんだが、この作品の内容を簡単に説明すると、ちょびっツとか電影少女と言ったところだ。
ある青年が、憧れのアイドルのクローンと数日間共に過ごすと言う話。
言っておくが、この作品昭和５７年に描かれたのも。
Fの妄想はかなり早い。
あと、主人公佐江内と言う妻も子供もいる冴えない万年係長の男が、ひょんなコトからスーパーマンの力を得た話しとかもある。
で、様々な小さい事件を解決して行くんだが、時折スーパーマンの能力である透視能力で女の子の裸とか覗いちゃったりする。
その他様々な冴えない男達が登場するのだ。
一つ間違えれば藤子・F・不二雄は小田原ドラゴンになっていた可能性が高いんじゃないかと思ったな。
しかしどの最後も読後感はどれもあたたかい。
シニカルなSFもあるんだが、結局あたたかい読後感で終わる。
これはもう人柄と言っていいだろう。
藤子不二雄Aの短編の読後感とは一味違って良い感じ。
この人の作品を読んで一貫して言えるコトは、幸せは実は手を伸ばせばすぐにつかめると言うモノだ。
些細な幸せをつかめない奴は、際限の無い欲望に溺れると言った感じでもある。
しかし、この人は際限の無い欲望に溺れた人を描くのではなく、あくまで
「何があろうが普通に生きてりゃいいんだよ」
と言う読後感に満ちている。
だから読んだ後、あたたかく感じるのかもしれない。
逆に藤子不二雄Aだったら際限の無い欲望に溺れた人を描くじゃないですか？
そう言うのがまったく感じられない。
でも藤子不二雄Aがダメとかそう言うコトじゃなく、これはその作者の人柄の好き嫌いなんで、なんとも言えないんだが。
そんで、この作品読んで思ったんだが、たぶんF氏はA氏の生き方を少し憧れていたんじゃないかと言うコトだ。
良くこの２人を比較するトキ、社交的なA、内向的のFとか、遊び人のA、働き者のFと言う語られ方があるが、まさにそんな感じ。
で、お互いその持っていない部分を妬んでる４０、憧れている６０みたいな雰囲気がプンプンした。
例えばAの主人公は、麻雀とかゴルフとか趣味を持った人が多いが、Fの主人公はほとんどがのび太の延長線上のダメ人間だ。
そして乱暴にこの２人の漫画のラストを分けてみると、Aの主人公にはそんなフラフラ趣味や欲望にかまけてる自堕落な男に戒め的な罰が用意されているが、Fにはダメな自分でもいいからもっとガンバレっぽい、エール的な終わり方が多いような気がする。
たぶんAはそんな自堕落な自分が好きだけど嫌いで、Fは冴えない社交的じゃない自分にこれでいいと言い聞かせてるようにも思えた。
そしてAはFの才能が羨ましくて、FはAの人当たりのよさが羨ましいみたいな。
全部勝手な想像で悪いが、そんな気がしたの！
で、今回私がこの漫画で、１番好きなセリフを引用して終わりたいと思います。

＜あらすじ＞
ある宇宙人が、地球征服を企んで地球人の観察を始めて早幾年。（オバQのO次郎みたいでスゲーカワイイ）
しかし、観察すればするほど、この地球人の矛盾した行動に頭を悩ませる宇宙人だった。
そして観察していると、大人と子供がお互い失望し合っている現場を見て、ある宇宙人が言った言葉。

宇宙人A：「大人と子供は異人種なのか？」
宇宙人B：「そうではない。ただ・・・・大人は自分がかつて子供だったことを忘れ、子供はやがて大人になることを忘れているんだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　＜表題作：征地球論より＞

ドラえもんしか知らない人が見ると、この漫画がおもしろく映るのか、つまらなく映るのか気になる。
以上。
（しかし藤子・F・不二雄の作品にはカメラネタが多い。タイムカメラ、値踏みカメラ、夢カメラ、コラージュ・カメラ、ミニチュア製造カメラとか。あとタイムマシーンネタも多い）
追記
そんで本返しに行ったトキ、係りの女の人に借りた本を自分でしまえ的なコトを言われ、かなりカチンときた。
そう言うのはお前等の仕事じゃねぇのか！！？
なんでオレが勝手の分からん本棚探してしまわないといけないんだ！！！
アナルをクスコ*1で開いて寿司詰めてやろうか！！！？
それとも尻の穴に筆ペン突っ込んで、紙に
「私はブスです」
って書かせてやろうか！！！？
チキショー・・・・・。
何が腹立つって、言われた通りに本片付けたオレ！！！！
なにやってんの！！！？（富野由悠季っぽく）
今度そんなコト言ったら、金ダライの中にションベンさせてやる！！！！
コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・べ・キ・カ！！！！（魔太郎風）

*1:局部を開かせる器具