絶叫!冥途の土産

私には、あちこちでお笑いライブ活動をしている若手芸人の友人がいます。
私はちょくちょく彼のライブを観に行ったりしてるワケですが、まだ全然売れていない芸人なので、ライブをする場所も当然小さいトコでやるワケです。
一昨日も彼が出演した小さなBARでライブを観てきました。
彼は店にいる客の爆笑をかっさらい、芸人としては満点のステージを終えました。
そしてライブ終わりに彼が私に、
「明日また別の場所でお笑いライブがあるんですよ」
というので、もちろん次の日も行くコトに決めました。
「で、今度はどこでやるの?」
と聞くと、
日本橋のアニソンカフェでやるんですよ」
と彼が言いました。
それを聞いた私は
「おお!それやったら今日よりもっとウケるかもしれんなあ!」
そう興奮気味に彼に言いました。
何故そう思ったのかというと、彼のやってるネタはサイヤ人地球襲来というネタだからです。
アニソンカフェでアニメネタ。
どう考えてもスベるワケがないです。
言ってみりゃ阪神タイガースが甲子園で野球するようなモンですよ。
で、サイヤ人地球襲来とはどう言ったネタかと言うと、サイヤ人の戦闘服を着たベジータ扮する友人とナッパが、地球に漫才しにやって来たというネタです。
彼には相方がいて所謂コンビ芸人なんですが、その相方の風貌が頭ツルツルでナッパそっくりなんですよ。
そんで極端に身長が小さいんです。
もうこの小型のナッパが登場するだけで客席はドッカーンですよ。
そして昨日、私は爆笑必至に違いないアニソンカフェに行ってきました。
アニソンカフェを知らない人に簡単に説明しますと、カワイイメイドさんがステージでアニソンを歌ってるのを観ながら飲食するみたいなところです。
メイド喫茶初体験の私。
嫌でも友人のネタとは別の期待が高まります。
まるで初めて風俗に行く時のようなドキドキ感に包まれ場所を目指しました。
しかし、場所がかなり入り組んだ細道で中々目的地がわかりません。
私は方向音痴なのです。
「どうしよう・・・見つからん・・・時間もだいぶ過ぎてる・・・もう友人のステージが終わってるかもしれん・・・」
そう焦りながらウロウロ彷徨っていると、突然
「うわあああああああ!!!!!」
という大きな悲鳴が聞こえ、私はその声のする方向へ駆け寄ると、パンティーを頭から被ったサイヤ人が店から出てきて、店の前でのたうち回っていました。


キャーーーーーーーーーーーー!!!


冷静になり、ふと、良く見てみると、それは友人の相方のナッパでした。
サイヤ人地球襲来というネタは、パンティーを頭から被るというナッパの下品なボケを、ベジータが凄まじい制裁(突っ込み)を加えステージから吹っ飛ばすというのがオチなのです。
かなり道に迷いましたが、ナッパのお陰でようやく店を見つけるコトが出来ました。
それと同時に、
「遅かった、もうネタは終わったんだな」
というコトを悟りました。
で、店の前で一仕事終えたナッパに私は
「あ、昨日はどうも」
と、挨拶をしたら
「ああ!来てくれたんですか!ありがとうございますー」
と、シルクハットを脱ぎながら挨拶する英国紳士のように、ナッパは頭にかぶったパンティを取って挨拶してくれました。
なんて地球人に優しいナッパなんだ。
そしてナッパに、
「もうネタは終わったんですか?」
と聞くと、このあと数時間後、もう1回ネタがあるとのこと。
それじゃあその間店で待つか、というワケで、ここで初めてメイド喫茶に入店。
この先に本当の恐怖が待っているとも知らずに。






中に入ると、
「め・・・メイドがいる!!!」
「め・・・メイドがアニソンを歌って踊ってる!!!?」
と、ひとしきり驚けるところで驚きました。
そして、そこそこ客が埋まってる店内で、空いてたカウンターに座って何か注文しようとメニューを見る。
すると、メニューにディバイディングドライバーというオリジナルカクテルが!?
ディバイディングドライバーとは、勇者王ガオガイガーというロボットアニメの技の名前です。


そしてメニューの下の方も良く見ると、六神合体ゴッドマーズというカクテルが!!?

これを見た瞬間、猛烈に
「注文したい!!!」
という衝動に駆られる。
いや、ここでどっちかを注文しなければ漢(おとこ)が廃る!!!とさえ思い始める私。(何で?)
なんて汚いやり方だ。(そうか?)
で、メイドの姉ちゃんにこれ等はどんな酒かと訊くと、ゴッドマーズはアルコールが若干高めだというので、とりあえずディバイディングドライバーを注文しておきました。
無事注文を終え、友人のネタを待ってる間一人で暇なはずなのですが、ところが全然暇にならない。
ステージにあるデカイモニターの他に、カウンターの前にも小さいモニターが設置してあり、そこからは休むコトなく引切り無しにアニソンが流れるからです。
ぽてまよや、クラナドや、すももももも*1などの新しいアニソンはもちろん、銀河旋風ブライガーや、キャッツ・アイや、プラレス3四郎や、スペースコブラなどの古いアニソンも流れ、
「ああ・・・古い方が落ち着く」
とか思いながらそれ等をじっと見てました。
すると、今度は勇者王ガオガイガーの曲が流れる。
そしてなんと、その歌をメイドさん自らがステージで歌うようなのだ!
「スゲエ!女子がガオガイガーを歌うのなんて珍しいな!!ここのメイドレベル高けーー!!」
と、感動を覚える。
生まれてこの方ガオガイガーの歌をカラオケで歌ってる人を見たのはzubiさんしかいません。
「ガガガ!!ガガガガガオガイガー!!!♪」
と、ステージで歌うメイドさんの声を聴きながら、カウンターで一緒にガオガイガーの歌を機嫌良く口ずさむ。
「今までメイド喫茶に何故行かなかったのだ?」
そう思うほどアニソンカフェを楽しむ私。
すると、
「ファイナルフュージョーン承認ーだー!♪」
のフレーズから様子がおかしくなり始めた。
メイドさんが歌いながらステージを降りて歩き出したのだ。
このあたりからカウンターにいる私の額から留めどなく冷や汗が流れ始める。
私の野生の勘がしきりに
「もしかしたら!!!!?」
という危険信号を点滅させ、私に危機を教える。
マズい!!
メイドさんと目が合った!!!
やはりメイドさんの向かって来る先は私だ!!!
さっきまで気づかなかったが、メイドさんの手を良く見ると思いっきりカクテルらしきモノが入ったグラスを持っている!!!
そしてメイドさんは私の横でピタリと止まり、
「今だー超人合体だーー!!!♪」
と歌い続ける。
その瞬間、私の勘は確信へと変わり、心拍数は上昇し、それと同時に覚悟を決める。
もう間違いない!!!
アレが来る!!!
「空ー間ー湾ー曲(くうかんわんきょく)!!!ディバイディングッッ!!!!ドライバーあああああああ!!!!!」

メイドさんはそう言うと、やっぱり思った通り、私のテーブルのコースターにさっき頼んだカクテル、ディバイディングドライバーをドンッと置いた。


キャーーーーーーーーーーー!!!


するとそこで音楽は止まり、
「ディバイディングドライバーです☆ありがとーございましたー☆」
メイドさんは私に向かって笑顔で言った。
私は満面の苦笑い
「・・・ありがとうございます・・・」
と、言うしかなかった。
たぶん、六神合体ゴッドマーズを注文したら、メイドさん
「六神(ろくしん)がったあああああああああい(合体)!!!!」
って言いながらカクテル置くんだろうな。
絶対そうに違いない。
レストランで誕生日の客に店員が花火の付いたパフェを持って来るのを横で見てるだけで恥ずかしいと感じる私が、メイドさんにディバイディングドライバーですよ?
これはもう恐怖体験です。
このあと、友人のネタなどどうでもよくなるくらいの疲労感に襲われました。
で、メニューの1番下を良く見ると、

特別オリジナルカクテルを注文すると何か良い事が起こるかも?

と書いてありました。
書いてたのか・・・・。
ならオレのミスだ!!!
みなさんもメニューを見る時は保険の契約書にサインするくらいの気持ちで慎重に見てくださいね。
以上。

因みに友人はドンピシャの客層の前で完全勝利でステージを終えました。

*1:すもももももも>か。<すももももも>は持田真樹主演の映画の方だった。ややこしい!