まだ旅立ってもいないのに

動物園に行ってきた。
動物園とか水族館とか植物園とかガラガラの遊園地とかが好きだ。
なんか<取り残された感>が心地いい。夢の中みたいで。
贅沢を言えば、
場所は辺ぴな方がイイ
人はなるべく少ない平日がイイ
女は無口な人がイイ
明かりがぼんやり灯りゃイイ
しみじみーー飲めばーしみじみトーー〜〜思い出ーだけがー行過ぎるーー〜〜・・・・・以上。舟唄だ!コノヤロウ!
でも実際しみじみと思い出だけが行過ぎるのは本当だ。
けっこう前一人で動物園行ったトキ<マジで泣きそうに>なった。もうちょっとでキモい人だ。(そんなトコ一人で行ってる時点で充分キモい人だ)
なんか25〜6ぐらいからやたら昔のコト思い出したり(若造なのに)センチメンタルな気持ちになっている。もちろん現在進行形で。
もう、ちょっとしたおじいちゃんだな。
楽しい思い出がだいたいそんな夢の中みたいなトコだからだろうか?いや、「実際夢だったんじゃねぇか?」って思ったりする。
それはさて置き。
こういう活気のない<時が止まった>場所が心地いいのは、活気のある人がいないからだ。動物園の動物も客もやる気ゼロだし。
なんか<生命力>って酔う。こう、両手を広げて待ち構えてるような感じのトコとか。
「いらっしゃいませーーーー!!!」(満面の笑み)
みたいな。
そういうのが苦手なのは私自身がすでにクタクタの状態だからかもしれない。
高校の時、
「人生ってあとどんくらいあるんだ?もう早く終わんねぇかな。生きるって大掛かりな罰ゲームみたいだな。」
ってよく思っていた。今はだいぶマシだが。
こういう気持ってたぶん他の人も感じている人がいるんじゃないか?と思っていたら、いた。
福満しげゆきと言う漫画家だ。
彼の短編集<まだ旅立ってもいないのに>に収められている表題作<まだ旅立ってもいないのに>は、そんな人生の途方も無さそうな感じを良く表した作品だと思う。
帯に書いてあった、「まだ旅立ってもいないのに、僕はもうクタクタだった」で、すでにグッときたが内容もグッとくるイイ作品だった。でも「人生って楽しい事いっぱい!」って思ってる人にはひとっっつも面白くない内容だ。そんな人は来世にそういう気持ちに生まれ変わってから読むと面白いかもしれない。
今思うとつまんない日ばかり続くなんてないって分かるが、当時はホントに途方もない旅のように思えた。
多分これからとんでもない不幸が待ち構えているかもしれないが、「夢のような日があったからこれでイイや」と今は思える今日この頃。

でも私の夢のような日なんて普通の人から言わすとレベル低いんだろうな。