fujigelge2008-02-25

ベッドで寝ている女の子:「おばあちゃん。今日はどんなお話してくれるの?」

ユリ椅子で編み物をしているおばあちゃん:「そうだねぇ・・・じゃあ今日は喧嘩屋ゴロマキ権藤の話をしようかねぇ?」

ベッドで寝ている女の子:「わあ!!聞かせて聞かせて!!」






唐突ですが、最近のアニメは脇役が結構重要な役割を持ってる作品が多いですね。
主人公より脇役が好きって人も結構多いと思います。
っていうか、主人公より脇役の方が普通に人気があったりします。
しかし、昔のアニメや漫画は脇役はあくまで脇役でして、主人公の邪魔をしないようにしゃしゃり出ないのが礼儀とされていました。(礼儀?)
で、今回紹介する人物は、アニメあしたのジョー2に出てきた名脇役ゴロマキ権藤であります。
このゴロマキ権藤というキャラクターは原作の漫画ではほとんど出てきません。
ホントに思いっきり脇役として登場します。
しかし、アニメあしたのジョー2では我々おっさんのハートを鷲づかみにする、とても魅力的なオヤジキャラとして登場するのです。
少年漫画において友情というのはハズせないエッセンスなんですが、あしたのジョーの原作でも、永遠のライバル力石徹と、ベネズエラの戦慄カーロス・リベラとの友情が主に描かれています。
確かに力石とカーロスとの友情はグっと来るモノがあります。
しかし、私は原作にない、アニメあしたのジョー2のゴロマキ権藤と矢吹丈との友情の描写も非常に大好きなんです。
兎に角、あの権藤の多くを語らないトコがたまらん。
おっさんになるとゴロマキ権藤の大人っぷりが萌えるようになって来るんですよ。
あしたのジョー2の監督である出崎統の素晴しい演出がこのゴロマキ権藤というキャラにいっぱい詰まってて良いんですよね。
私、列伝シリーズであしたのジョーに登場した脇役ウルフ金串という男について書いたコトがあるんですが、権藤とウルフのキャラクターは出崎統のキャラと言って過言じゃないと思っています。
特に権藤の多くを語らずベタベタしない友情が良いですね。
軟弱な少年キャラに飽き飽きしたオヤジキャラが好きな腐女子の方にはこのゴロマキ権藤をお奨めしたいです。
今からようつべを使ってゴロマキ権藤の魅力に迫ってみましょう。
迫りたくない人はこのままスルーの方向でよろしく。
長い上にたいして笑いもないですから。
まず初めにゴロマキ権藤の初登場シーンから。

あしたのジョー2第1話「そして、帰ってきた・・・」より


これは負け犬スーパースター列伝で紹介したウルフ金串の負け犬人生のシーンです。
ウルフはかつてジョーのライバルだったのですが、ジョーに顎を砕かれヤクザの用心棒に身を落とします。
そしてウルフと対立するヤクザの用心棒ゴロマキ権藤が喧嘩殺法で更にウルフの顎を砕き引導を渡しますが、それを見たジョーがかつてのライバルウルフが酷い目に遭わされたのを見て逆上*1
逆にジョーは権藤を叩きのめします。
権藤はジョーがリングで力石を殺したあのボクサー矢吹丈だと知ると、喫茶店での大乱闘でパトカーが来た頃、権藤はジョーを連れて小窓から逃げ、雨の中高架下へと逃げ込みます。
そこで権藤はジョーにそれとなく自分はボクサー矢吹丈のファンだと告げます。
この高架下のシーンがたまらん。
渋い。
いや、渋いを通り越して権藤おっさんなのになんか萌えるぞ。
なんだこのカワイさは?
ニコ動だったら
「権藤のカワイさは異常」
ってコメントするところですよ。
で、続いて、相変わらず力石を殺したコトをくよくよ悩んで対戦相手の顔面が殴れずボディしか打てない落ちぶれたジョーと権藤が再会します。
では、次はそのシーンを。

あしたのジョー2第7話「さまよえる・・・野獣のように」より


顔面が殴れずボディしか打てないポンコツボクサーになったジョーですが、それでもジョーは一級品のボクサーと認める権藤。
自分は警察に追われる身になったので旅に出るコトをジョーに告げるのですが、落ちぶれたジョーに向かって

「一緒に・・・どうですか?」

と誘う権藤。
どうですか腐女子のお客さん!?アントニオ猪木風に)
萌えるでしょ?
え?
萌えない?
まだ萌えない?
いや、この渋さをどうにかして萌え変換して帰ってもらいたい私。
まだまだ終わらんよ。(シャア・アズナブル風に)
では次はこれです。

あしたのジョー2第32話「さらば・・・古き愛しきものたち」より


ヤクザを連れて、ある少年を力づくで連れ戻そうとする権藤。
それを見たジョーは少年の味方につき、権藤を叩きのめして少年を助け逃がします。
しかし、その逃がした少年は権藤の恩人の息子で、不良になって家から出た少年を権藤はその恩人の下へ連れ戻そうとしてたのでした。
これは、懐かしい人や場所のところに行ったジョーに少年の頃を思い出させるお話で、これまた良いシーンに権藤が絡んでいます。
今回の萌えポイントは、理由を知らないジョーと殴り合いの喧嘩をしたあとに言った権藤の

「オレ達、何馬鹿なことやってんでしょうね」

です。
そして次はこれ。

あしたのジョー2第38話「意外な訪問者・・・ゴロマキ権藤」より


あの、あしたのジョーの対戦相手で最もヨゴレキャラと言われた男ハリマオとの対戦前日のお話です。
ジャングルの奥地で育った野生児ハリマオのトホホ空中殺法を破るタメ、ジョーは自分の中で忘れつつある野生児の喧嘩殺法を権藤に思い出させてくれと頼むシーンです。
今回の萌えポイントは、

「男がよくよくの事でやって来た時、矢吹さん、あんたワケを聞いて引き受けたり断ったりしますかね?」

と言って、すんなりジョーの頼みを受け入れるトコ。
兎に角、権藤は話が早い男です。
話が早い男はカッコイイ。
グダグダ先延ばしにする男はカッコ悪いモノです。
私もこう言う大人になりたいが、人間ここまで行くには相当な達観が必要です。
20年くらい経ったらこんな男になっていたい。
で、次に紹介するのが私が最も好きなゴロマキ権藤の名シーンです。
名シーン中の名シーンと言っていいでしょう。
動画の前に軽く前置きしますと、このシーンは最終回間近のジョーの最大のライバルであるホセ・メンドーサ戦前日のお話です。
第27話でジョーから30万円借りて返さなかったウルフ金串が44話でようやくお金を返すシーンで始まります。
ではゴロマキ権藤最後の見せ場をどうぞ。

あしたのジョー2第44話「葉子・・・その愛」より


ウルフ金串とジョーが、スナック(バー?)で酒を飲みながら歓談。
大事な試合前日は力石戦の時も、カーロス戦の時も、目の前にいるウルフ戦の時も同じ眠れない気持ちだったと告白するジョーに照れるウルフ。
そして、その店で偶然酒を飲んでたゴロマキ権藤がウルフとジョーを見つけるのですが、折角の歓談の邪魔をしないようにあえて2人には会わずに、カウンターで1人で酒を飲み直します。
世界チャンピオンと戦うジョーと一緒に飲みたい気持ちを殺して、権藤はグラスの酒に指を濡らし、ビクトリーのVの字をカウンターに書きます。
そして2人が店から出て行くところを静かに見送った後、権藤はマスターに

「おい、もう1杯頼むぜ。前祝にな」

と言います。
するとマスターは、
「は?何の前祝で?」
そして権藤はこう返します。

「オレの大事な人がよ、一世一代の大勝負をするんだ。おい、これじゃねぇ。もっと上等のやつだ」

萌える!!
つうか、カッコ良過ぎだろ権藤!!
これが原作にない出崎統クオリティ。
もうたまらん。
こんなキャラは中々お目にかかれない。
権藤はウルフと同じ負け犬なんですが、ウルフとは根本的に何かが違う。
素晴しいキャラです。
で、ずいぶん前にウルフについて書いた負け犬スーパースター列伝で、私ウルフはジョーから30万円借りてそのままトンズラしたと言う間違いを書いたんですよ。
実はこのシーンで返してたんですが、私このシーン全然憶えてないんですよ。
コメントで
「ウルフはその後ジョーにお金返しましたよ」
と指摘されるまで気づかなかったんですよ・・・。
もう、それがショックでショックで・・・。
こんな名シーンよく忘れたモンだ。
たぶん昔はこの良さがピンと来なかったんだと思います。
今ならわかる。
そのわからなかった戒めの意も込めて今回このゴロマキ権藤を紹介しました。
この権藤の名シーンだけをようつべでアップしてくれたsakamosyonさんに感謝!!
あなたがいなければ私は一生このシーン忘れたまんまだったかもしれん!!
この場を借りてありがとうございます!!
ビバ!!
ゴロマキ権藤!!!
以上。

*1:もっと細かく言うと、顔面(テンプル)を殴り力石を殺したショックから立ち直れないジョーが、顔面を殴るのが怖くてボディしか打てないポンコツボクサーに成り下がった自分とウルフを照らし合わせての逆上。