fujigelge2009-06-23

ベッドで寝ている女の子:「おばあちゃん。今日はどんなお話してくれるの?」

ユリ椅子で編み物をしているおばあちゃん:「そうだねぇ・・・じゃあ今日は戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーの話をしようかねぇ?」

ベッドで寝ている女の子:「わあ!!聞かせて聞かせて!!」







みなさんは戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーというアニメをご存じか?
この作品はアメリカで制作されたアニメで、日本では吹き替えで放送されたアニメである。
映画レオンでナタリー・ポートマンが劇中で熱中して見ていたアニメとしても有名である。*1
その後トランスフォーマーは人気を博し、様々なシリーズ展開をし、ついにハリウッドで実写映画化。
最近トランスフォーマーリベンジという続編も上映されてご存じの方も多いだろう。
私は劇場版のトランスフォーマーは未見でまったく内容は知らないのだが、戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーは当時中学生だった私は毎週見ていた。
何故なら凄くおもしろかったから。
では、ここでおもいっきり簡単に戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーのあらすじを紹介しよう

トランスフォーマー>というロボット生命体が住む惑星セイバートロンでは、正義の心を持ったロボット達サイバトロンと悪の心を持ったロボット達デストロンがいて、惑星セイバートロンにあるこいつらのエネルギー源であるエネルゴンキューブが枯渇してきて、こいつらはそれを取り合いするのだった。
セイバートロン星にあるエネルギーがいよいよ枯渇し、サイバトロンとデストロンはエネルギーを求め地球へやって来た。
そこでもエネルギーの取り合いっこを繰り広げる。
あとついでにデストロンの世界征服をサイバトロンは阻止したりするのだった。

という話だ。
エネルゴンキューブを取ったり取られたり。
こいつらの戦いは思想や信念などは全くなく、食いぶちを確保するだけの戦いなのだ。
人間でいうと、食料を奪い合うという争いだ。
そして、こいつらはエネルギーの枯渇で地球にやってきて、デストロンは地球征服を目論んだり、サイバトロンはそれを阻止したりと、一応緊張感のあるステージにいるはずなのに毎週ぬるい戦争ゴッコで話は終わる。
これのどこがおもしろいのかと言うと、このアニメはロボットモノには珍しく、燃えアニメではなく萌えアニメだったのだ。
これはどう言うコトか説明する前に、まずわかり易く萌えアニメの特徴を大きく3つに分けてみよう。



・男は少数で、登場人物は大勢の女の子のハーレムアニメ。

・男すら一切出てこない登場人物が女の子だけのアニメ。

・内容はほとんどなく、女の子のキャラクターがただじゃれ合うだけのアニメ。



こういう要素があれば萌えアニメと言っていいだろう。
そしてトランスフォーマーはこの萌えアニメの要素の男という部分を人間に置き換え、女の子の部分をロボットと置き換えると、この要素が全て当てはまるのである。


・人間は少数で、登場人物は大勢のロボットのハーレムアニメ。

・人間すら一切出てこない登場人物がロボットだけのアニメ。

・内容はほとんどなく、ロボットのキャラクターがただじゃれ合うだけのアニメ。



女の子がロボットになっただけで、内容は萌えアニメと同じなのだ。
兎に角人間がたまにしか出てこない。
「人間なんかに萌え要素なんてねぇよ」
と言わんばかりである。
サイバトロンとデストロンはお互い戦争をしてるというのがこの作品の物語のベースとなっているのだが、死傷者や犠牲者などは一切出ない。
どう見てもお互いただじゃれ合ってるようにしか見えないのである。
そして、たまにデストロンの親玉のメガトロンが人間を襲うシーンが出てくるのだが、精々ちょっと脅したりする程度で絶対に殺したりなどしない。
下手すると、こいつらはホントに悪者なのかすら怪しいくらいなのだ。
こう言う場面が続くコトによって、視聴者である我々はデストロンはサイバトロンの気を引くタメに戦争ゴッコを仕掛けてるだけにしか見えなくなるのである。
なので、どんなにサイバトロンサイドのロボットがデストロンによってピンチを迎えたとしても、我々は
「どうせ誰も死なないんだろ?」
とドッシリと安心して見れるのである。
しかし、これだけの説明ではまだどこに萌えポイントがあるのかわからないと思うので、次は萌えアニメで最も重要な個性的なキャラクターについて説明しよう。
ウィキペディアではこのアニメのキャラクターの主なお約束がこう紹介されている。

・サイバトロンのリーダー、コンボイ司令官の言う「私にいい考えがある」(大抵失敗に終わる)

・メガトロンの側近、スタースクリームの言う「今日からデストロンのニューリーダーはこの俺だ!」「お許し下さい、メガトロン様!」(スタースクリームの傲慢さと臆病さを象徴する代名詞的台詞)

デストロンのリーダー、メガトロンの言う「この愚か者めが!」(主にスタースクリームとのやり取り)

つまり、コンボイ
「私に良い考えがある」
と言ったら視聴者は
「失敗フラグキターー!!」
と萌え、デストロンのリーダーの座を奪うコトしか考えないスタースクリームがメガトロンを裏切り
「今日からデストロンのニューリーダーはこの俺だ!」
と言うと、視聴者は
「メガトロンのこの愚か者めフラグキターー!!」
と萌えるのである。
これがどう萌えに繋がっているのかをもう少し噛み砕いて説明してみよう。


コンボイ:「私に良い考えがある」→失敗→ドジっ子

スタースクリーム:「今日からデストロンのニューリーダーはこの俺だ!」→メガトロン:「この愚か者めが!」→じゃれ合い萌え。


となるのだ。
特にスタースクリームとメガトロンのじゃれ合いは萌えるのだ。
幾度となくスタースクリームはメガトロンを裏切り、
「あんたのような臆病者がデストロンのリーダーなんか務まるかよ!このオレ様がリーダーになってやる!!」
と悪態をつきまくり、メガトロンを死の寸前まで追い込んだりするのだが、メガトロンはそんな片腕としてそばに置いている仲間から裏切られ、そのピンチから脱しても、
「馬鹿モン!!この愚か者めが!!」
程度で、決してスタースクリームを殺したり粛清したりしないのだ。
そうかと思えば、メガトロンに作戦について何度も注意を受けたコトを
「へっ、大丈夫ですよ。メガトロン様は用心しすぎるんですよ。そんな臆病風吹かせるんだったらデストロンのリーダーなんてやめたらどうです?」
と言い、案の定スタースクリームのせいで作戦は失敗になり、メガトロンに
「馬鹿者!!!」
とお説教。
毎回、怒るだけである。
で、次の週には何事もなかったかのように、普通にいつものようにスタースクリームはメガトロンの片腕として働いてるのだ。
裏切り者と知りながら常に自分の片腕としてそばに置く。
こんなコトができるのはメガトロンか前田慶次こち亀の大原部長くらいだろう。
この関係はどう見ても異常だ。
メガトロンは人型からビームライフルにトランスフォーム(変形)するロボットなのだが、当然自分一人ではビームを撃つコトは出来ない。
ではそのビームライフルを誰が撃つのかと言うと、なんと自分を何度も裏切っているスタースクリームなのである。
メガトロンには他にサウンドウェーブ参謀という信頼の置ける奴がいるのにも関わらず、敢えてスタースクリームにその身を任せるのである。
こんな危ない奴を、まさに片腕として寵愛してるのだ。
この2人には視聴者である子供達には思いも知れぬ、複雑且つ、特別な関係で結ばれてるとしか思えないのである。
メガトロンとスタースクリーム肉体関係くらいに発展してるに違いない。
夜な夜なトランスフォームしながらアブノーマルなプレイに興じてるのが容易に想像出来る関係なのだ。
そんな2人が毎回お互いを罵り合いじゃれ合うのである。
そして作品も後半になるにつれ、この2人の関係は嫁と姑のような関係に落ち着いていき、見事ないがみ合いの安定感を見せるのである。
他に様々な個性的なキャラクターがじゃれ合って話は進行して行くのだが、この2人のやり取りこそがトランスフォーマーの最大の萌えポイントなのだ。
ロボットモノだが決してそこに燃えなど存在しない。
私はこういう萌えアニメも好きなのだが、やはりロボットモノは燃えでなければいけないとも思う。
ではどうしたらこのアニメを燃えアニメに変えるコトが出来るのだろうか?
コンボイ司令官:「私に良い考えがある」
以上。

*1:そうか?